【富士宮城北店】 8月のおわり
2018/08/30
こんにちは。富士宮城北店、営業の泉です。
今年の夏は暑い(暑かったと過去形で言いたい・・・)ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか?
いつも釣りネタばかり書いている私ですが、今回に限り少し真面目なお話しでも。
私の中で、8月のイメージは「戦争」です。
唯一の戦争被爆国である日本。毎年8月、特に終戦記念日近辺には、各テレビ局で戦争にまつわる番組が放送されます。終戦から73年が経ち、風化を心配する番組内容も多くなった気がします。
世間が戦争を忘れまいとするこの8月、私も特に思い出す出来事があります。
実は私、二十歳から6年間、陸上自衛隊にいました。
配置先は普通科、いわゆる「歩兵」です。歩兵ですから、基本的に「人間が手に持って移動できるサイズの兵器」をメインに取り扱います。拳銃・小銃・機関銃・無反動砲・使い捨てのロケット砲など。一番重たくても、車に据え付けて使う重機関銃や対戦車ミサイル、迫撃砲まででしょうか。
そんな武器の中、84mm無反動砲(筒状で持ちづらく、とても重くて大嫌いでしたw)の射撃で、予期せぬ出来事がありました。
時の首相や防衛大臣(当時は防衛庁長官でしたが)も視察に来る「総合火力演習」というイベントがあります。ド派手にジャンジャン・バリバリ撃ちまくります。数日間耳が聞こえなくなる程です。メインはヘリや戦車で、歩兵の様な地味な職種の出番は多くありませんが、そこで無反動砲を撃つ場面がありました。
弾が当たるとパタンと倒れる的を使うので、基本的に爆発をさせるのは本番だけなのですが(練習で的が壊れると困ります)、その日、ある部隊の無反動砲にセットした「榴弾」という種類の弾で、間違って爆発させてしまう失敗がありました。
「榴弾」とは、戦車や陣地を狙う「硬くて頑丈な物を壊す弾薬」ではなく、空中で爆発して何千発ものベアリングを撒き散らす弾薬です。そう、「対人兵器」です。タイマーをセットして、目標の上空で爆発させるのですが、その時限を間違えてしまったんですね。
撃った部隊と一緒に、おそらく壊れてしまったであろう「パタンと倒れる的」を見に行きました。的と言っても、強力な爆発にも耐えられる、鋼鉄で出来た四角い箱です。装甲は1cm近くあり、重機を使わなければ持ち上げる事もできません。
暑い中の訓練でしたので、タイマー設定を間違えた部隊に対し、皆ブーブー文句を言ったりしました。何百メートルも歩いて的にたどり着いた、その時の光景が忘れられません。
トラックで踏んでも壊れないような鉄製の箱が、トムとジェリーに出てくるチーズの様に無数の穴だらけで、鉄の灼ける臭いを放ってくすぶっていました。
皆の汗が地面に落ちる音が聞こえそうなくらい、静かでした。
口には出しませんが、そこにいた全員、これが
人(我々)に向かって使われる武器である
という事を、初めて理解したのです。
鉄の箱でさえ、こうです。絶望的な威力の、数の、ベアリングが、人の頭上から、無慈悲に降り注ぐのが、この「榴弾」という弾薬。
私は自衛官でしたので、もちろん実際の戦争に参加した事はありません。三宅島が噴火して災害派遣に行った以外は、全て訓練です。もしこの事故が無ければ、実兵器の威力を知る事も無かったでしょう。私自身はもちろん、子どもたちを守る為なら、ある程度の「戦い」はするつもりですが、
あんな兵器を湯水の如く使う「戦争」など、狂気の沙汰です
幸いなことに、私たちの住む日本は、73年もの間、戦争から遠ざかっています。
隣国との外交的な問題もありますが、少なくとも今日明日のうちに戦争で命を落とす事は無いでしょう。
しかし、世界では戦火の絶える事はなく、今この瞬間にも人が人を殺し、殺される惨劇が繰り返されています。
戦争が「終わった」
戦争を「忘れない」
そんなの日本人だけかも知れません。
そんな事を思い出す「私の8月も」終わろうとしています。
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